世界はほんの少しの闇と溢れるばかりの愛で満ちている【完】

chapter one /Ⅹ  君の背中






「結城くん……!」



ためらいつつも、廊下で見つけた後ろ姿に、その名前を呼んだ。



「瞳子」



振り返りざまに、ふわりと空気を含んだ前髪。



整った、あごから耳にかけてのライン。



まるで、透けそうに白い、繊細そうな肌。



そして、何よりも。



少し照れたような色を見せながら、まっすぐに視線をわたしに注ぐ、綺麗な瞳に釘付けになってしまう。



「昨日は、ありがとう。ずっと、聴いてたの。あのCD」



「ああ」



そこで、自然に笑った、結城くん。



純粋に、うれしくなる。



そんな表情を、もっとたくさん見せてほしいと思う。



いつまでも、見ていたいって。

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