世界はほんの少しの闇と溢れるばかりの愛で満ちている【完】

chapter three /Ⅲ 天使は誰だ









「あ」



窓際の席に座ってるの、日菜さんだ。



早めに着いたから、リハーサルまで時間をつぶそうと、近くのカフェに入ったら。



一人でいる日菜さんに会えるなんて、うれしい偶然なはずなんだけど。



「…………」



容易に、声をかけられるような雰囲気ではなかった。



ぼんやりと、窓の外をながめているようで、どこか違う世界を見てる。



それでなくても、あの女のせいで、俺の気持ちも、もやもやしてるし……。



「保科くん?」



「ああ……いたんだ、日菜さん」



じっと見すぎていたせいか、日菜さんに気づかれてしまった。



一応、こっちも今気づいたふりをして、向かいの席に座る。

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