世界はほんの少しの闇と溢れるばかりの愛で満ちている【完】

chapter one /Ⅲ 悲しい現実









「じゃあねー、野呂さん」



「あ……うん、また明日ね」



同じクラスの女の子に帰りのあいさつを返して、教室を出ようしたところで、保科くんと目が合った。



声をかけるかわりに、軽く笑いかけてくれた保科くんに。



わたしも控えめに笑って、保科くんにだけわかる程度に、頭を下げる。



教室の中で保科くんと話す機会が、ほとんどなくなって。



少しずつだけど、わたしに普通に話しかけてくれる女の子も増えてきた。



きっと、保科くんが気を遣ってくれたおかげ。



「…………」



いつものように、校門を出ると同時に、携帯を取り出して、ながめる。



たとえ、話はできなくても。



保科くんとのつながりは、ちゃんと……。



「ノロ子じゃん」



「えっ?」



不意に、聞き覚えのある声。


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