世界はほんの少しの闇と溢れるばかりの愛で満ちている【完】

chapter three /Ⅸ MY EYES AND YOUR EYES








「そうか、日菜さんのところに……」



翌朝、野呂さんのようすを伝えると。



うれしそうに、結城は目を細めた。



「戸惑うくらいだよ。明るいっていうか、天真爛漫とでもいう感じで」



以前の野呂さんとは、印象が……。



「前から、そんなだったよ。瞳子は」



昔の野呂さんに、思いを馳せているような表情。



「結城……」



「ありがとう、本当。保科がいなかったら、不安でどうにかなるところだった。そんな場所に、一人で通ってるなんて」



「…………」



なんだか、寂しそうにも見えた。



結城の気持ちが、わからない。



野呂さんへの罪の意識とか、関口さんへの情とか、よけいなものを全て差し引いたら。



いったい、結城が好きなのは、どっちなんだろう?

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