世界はほんの少しの闇と溢れるばかりの愛で満ちている【完】

chapter three /XI ざわめき








「保科」



結局、結城には連絡できずじまいだった、週末明け。



登校途中の駅で、結城が声をかけてきた。



「結城」



振り返って、何でもないように笑う。



「びっくりしたな、渋谷では。モノレール、よかったよ。メジャー感とマイナー感のバランスが絶妙」



「瞳子も、楽しそうだった?」



「ああ……うん」



当然ながら、微妙な雰囲気。



「そっか。よかった」



「…………」



きっと、聞きたいことは、たくさんあるんだろうけど。



それ以上、結城の方からは、触れてくることがなさそうだった。



「モノレールのライブ、野呂さんと観たことあるの?」



「……ない。いつか、一緒に行きたいと思ってたけど」



歩きながら、まっすぐに前だけを見ている、結城。

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