世界はほんの少しの闇と溢れるばかりの愛で満ちている【完】

chapter one /Ⅳ 心の赴くままに










「あれ?どうしたの?綾乃ちゃん」



朝、いつもの時間に登校しようと、駅の改札に着いたところで。



航生くんと待ち合わせたあと、先に学校に行ってると思っていた、綾乃ちゃんが一人でいる姿を発見したのだった。



「瞳子ちゃん。うん、ちょっとね」



「…………?」



綾乃ちゃんが、視線で示した方向に、目をやると。



少し離れた一角で、わたしも顔くらいは知っている、同じ中学校だった女の子と航生くんが話をしてる。



ううん、どう見ても。



ただ話をしてるんじゃなくて、航生くんが告白されている雰囲気。



「びっくりしちゃった。航生くんに声をかけようと思ったら、ちょうど、あの女の子が航生くんに駆け寄ってきたところで」



特に、気にするようすもなく、綾乃ちゃんは笑った。



「そう、だったんだ……」



中学の頃から、航生くんには、よくある話だったのは知ってる。

0
  • しおりをはさむ
  • 621
  • 6731
/ 841ページ
このページを編集する