世界はほんの少しの闇と溢れるばかりの愛で満ちている【完】

chapter four /Ⅱ 新しい生活








「嘘……」



「嘘じゃないよ」



お互いの気持ちを確かめ合うように、ほとんど無言で手を握り合ったまま、公園のベンチで数時間過ごしたあと。



日菜さんとの約束の前に、田村家に一度は顔を見せに戻らなくちゃと、結城くんに告げたときだった。



「本当に、綾乃ちゃんが……?」



結城くんの口から伝えられた、信じられない事実。



「どうして、そんな……」



あの綾乃ちゃんが、わたしの部屋でのようすを盗聴器で探っていたなんて。



それこそ、小説の世界の話としか思えない。



「……そこまで、結城くんのことが好きだったのかな」



「違う」



表情を変えずに、結城くんは首を振った。

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