世界はほんの少しの闇と溢れるばかりの愛で満ちている【完】

chapter four /Ⅴ 暗闇の中








「綾乃……!」



気がつくと、綾乃ちゃんの前に歩み寄った、美恵子おばさんが。



わたしが止める間もなく、綾乃ちゃんの頬を叩いて、体を震わせていた。



「おばさ……」



「うらやましいだなんて……あなたのせいで大変な思いをしてきた瞳子ちゃんに、何てことを言うの?まだ、そんなふうにしか思えないの?」



「痛いよ……お母さん」



本当に、力が尽きてしまったように、綾乃ちゃんがしゃがみ込んだところで。



「美恵子」



開いていたドアから、おじさんが入ってきた。



「瞳子ちゃん、ひさしぶりだね。とにかく、申し訳なかった」



「いえ……」



まずは、わたしに頭を下げる、おじさんに。



どうしたらいいのかわからず、首を振るしかない。

0
  • しおりをはさむ
  • 621
  • 6731
/ 841ページ
このページを編集する