世界はほんの少しの闇と溢れるばかりの愛で満ちている【完】

chapter one /Ⅴ 新しい一歩








「何?それ。イロ……」



お風呂あがりの綾乃ちゃんに、リビングで操作していたPCをのぞき込まれる。



「うん。イロイッカイズツ」



夕食後、結城くんに教えてもらった名前を、言われたとおりに検索してみたら。



昔のゲームの説明に紛れて、バンドのサイトらしきものを見つけた。



「瞳子ちゃん、知ってるバンドなの?」



「最近、ちょっと」



なんとなく、結城くんの話を出すのはためらわれて。



ごまかすように、簡単に応えた。



「あ」



サイト自体は、メンバーの顔写真も載っていない、地味なものだったけど。



数曲、音も聴けるようになってるんだ。



我慢できなくて、とりあえず、いちばん上の音源を再生してみた。



「ふうん。瞳子ちゃん、こういうのが好きなんだ?」



「うん……好き、かな」



特に興味のなさそうな綾乃ちゃんに、申し訳ないし。



何より、あとでじっくり聴きたくて、一度音楽を止め、PCも閉じた。

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