世界はほんの少しの闇と溢れるばかりの愛で満ちている【完】

chapter four /Ⅹ 軌跡と奇跡










「保科くん……!」



会計を済ませて、店を出た瞬間、保科くんの名前を呼んだ。



結局、あの場では、二人で話すことができなかったから。



「ん?」



何でもない、いつもの保科くんが振り向く。



「本……うれしかった。本当に、ありがとう」



ほとんど、残っていない、わたしのお母さんが持っていたもの。



形見といったら、大げさな気もするけど。



それでも、寂しい気持ちを忘れられた。



わたしのお母さんやお父さんが存在していたこと、思い出せた。

0
  • しおりをはさむ
  • 621
  • 6733
/ 841ページ
このページを編集する