虚上の迷宮

prologue

カン、カン、と小さな槌が、青銅の板を叩く。

その全てを沈静させる槌の音に、そこに集まった五人の男女がピタ、と口を閉じた。

槌を打った当人である老人はそれを確認すると、彼に向かう形で立った少年へ視線を戻した。

濡れるような黒い瞳に、夕日色の髪。

年の頃は14か15といったところだろう。

きゅっと固く結んだ口と、意思の強そうな黒の瞳は、ただそれだけで何かを訴えるようでもある。

“議長”であった先の老人は、その視線を真摯に受け止め、重い口を開いた。

「――では、判決を言い渡す。
君を、無期懲役の刑に処す。
……誰も依存あるまいな?」

問いかけた先で、五人の議員が重々しく頭を垂れる。

老人は、少年からの返答をも期待したが、それは無為に終わった。

彼は深く息をつきそうになるのをやっとのことでこらえ、口を開く。

「――これにて、閉廷とする」

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