虚上の迷宮

4章 そしてここには火の手


「……ただいま」

小さく、つぶやくようにセディンが言う。

その声にハリソンが おっ という目で、シフォルスティンが きっとしたままの目でセディンを振り返った。

セディンは困ったような視線でそれに応え、何故か両手を上げて降参の体勢を取っているハリソンと、シフォルスティンの双方を見やる。

「…どうかしたの?」

問う…と、シフォルスティンがムッとしたまま「何でもないわ」という。

ハリソンがそれにそっと手を下ろすのを見つめ…セディンは一つ嘆息し、先程からずっと手にしていた長方形の白の箱をシフォルスティンへ持ってゆく。

「──これ、」

それだけをいって、白い箱をシフォルスティンへ差し出す。

シフォルスティンはそれにほんの少し眉を潜め、セディンを見下ろした。

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