君だけのデビル【完】

悪魔の素顔 /その人生、転落につき。




「チサトちゃんのお部屋、まだ掃除してないのよー。チサトちゃんが良ければ、今夜は七瀬の部屋に泊まってくれるかな?」

ぺらぺらと戯言のような事を言っている母に、あたしは手のひらを見せてストップをかけた。


「ちょっと待てい。なんであたしの許可は取らない?その前になんであたしの部屋に!」

「えー。いいじゃない別に。昔、良く一緒に寝てたし」

「はっ!?」

昔、一緒に!?

ムカシイッショニ!?


またもや思い出せもしない記憶を掘り起こされて、あたしは眉根を寄せる。

まじで思い出せない自分の記憶力は、ほんと末期なのではないか疑ってしまう。

思わずこめかみを押さえていると、あたしの鼻腔をあの柑橘系の香りが擽った。


「ダメかな?」

目の前で小首を傾げて、シュンとなる…えーっと誰だっけ?ちさとちゃん?


そんな瞳を潤まれたら、断りたくても、

「う、ううん。そんなことないよっ」

断れるわけないだろうがっ。

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