文庫版鈴蘭学園物語~special episode~

鈴蘭学園物語②夏休み編 /アンコール




おまけ


〜ライチ君とフーコちゃん〜






誠 side



そんなこんなで、拗ね拗ねモードだった弟分の機嫌が少し直った今し方。

近くにあったおんぼろソファーに二人で座り、ようやく俺は雷壱の怪我の手当てを始めた。


切れた唇を脱脂綿に湿らせたアルコールで軽く消毒すれば、痛みに眉間にシワを寄せた雷壱に思わず苦笑を一つ。




「あーあ、派手にやられちまったなぁ。」


「…やられてねぇし、こんなん屁でもねぇ。」



少し口を尖らせながらぷいっとそっぽを向く弟分に、今度はクスクスと笑みが零れる。

ドレッドヘアーっつー派手な風貌ながら、その姿が可愛く見えんのは俺の贔屓目かな。やっぱ。


ん〜…なんつーか。




(バ会長がライオンでノエルちゃんが狼なら、雷壱は…虎かな?)



シマシマの尻尾がゆらゆら揺れてんのが見える気がする。
たまに笑うと八重歯が覗いて可愛いんだぜコイツ。

いやいや、妄想じゃないってマジだって。
生まれて間もない虎の赤ちゃん並みに癒やされんだってマジだって。


…姉バカとか言わないでー。




「つかお前、なんで浴衣着てんだよ。」


「あー、ちょうど近所で夏祭りがあってさ。」


「…ふーん。」



…あ、今ちょっと不機嫌になった。
自分も一緒に行きたかったオーラがにじみ出てる。

尻尾を床にパシパシ叩き付けてんのが見えるし。
いやもちろん幻覚ですけども。


兄貴のくせ風子よかヤキモチ焼きだかんなー、いっちゃんは。




「夏休み中はずっとこっちにいるからさ、一緒にいっぱい遊ぼうな。」


「!……おう。」



俺のセリフに少し素っ気なく返事をしながらも、嬉しそうにコクコクと頷く雷壱。

かーわいいなぁもう。
お姉ちゃんはメロメロだよ。
さっきまで鬼みてぇに暴れてた姿が嘘みてぇだ。




(ああなったら毎回手ぇ着けられねぇから、いつもなら手っ取り早く拳骨食らわせて落ち着かせてたんだけど…)



今回はほら、俺が色々悪かったからね。
すっげぇ心配かけちゃったからね。
さすがに拳は引っ込めましたよ。うん。


と、そんな約束を雷壱と交わしていれば、不意に後ろから可愛い可愛い妹分の叫び声が聞こえてきて…




「雷壱だけズルい!あたしも!あたしもマコ姉と一緒にいっぱい遊ぶっ!」


「、風子…」



一体どこから聞いてたのか。

そう言ってぷりぷりと頬を膨らませながら俺に突進…抱き付いてきた、双子の片割れ。


…訂正、風子も大概ヤキモチ焼きだったわ。

0
  • しおりをはさむ
  • 119
  • 5963
/ 139ページ
このページを編集する