文庫版鈴蘭学園物語~special episode~

黒崎 誠 /受験戦争…その後




誠 side



楽しい時間が過ぎるのは、あっという間。

二日後、三鷹さんが仕事で日本を発って俺に残されたのは寂しさと切なさ。


そして地獄の、スパルタ受験勉強の日々だった。




「学生の本分は勉強だ、【鈴蘭】に受かりゃ学費の心配もなくなる。

働くよりもまず勉強しやがれ。」



そう言って三鷹さんが俺の家庭教師として付けてくれたのは、三鷹さんの第一秘書の前川さんだった。


年齢は二十代後半、眼鏡を掛けた賢そうな外見。

三鷹さんが野性的で体格もいいから、隣に並ぶと優男っぽく見える。


三鷹さんがスパイスのきいた肉料理なら、前川さんは何て言うか…ミルクレープみたいな。

ピンと来るかな、この例え。




「さて、試験まで一ヶ月ちょっと。

ビシバシいきますから覚悟して下さいね、誠様。」



ニッコリと。

参考書片手に微笑む眼鏡男子の前川さんは、とても素敵で。


あまりに素敵過ぎて、ちょっと背中に冷や汗が伝っちゃいました…。



それから『BAR Noah』を初め、それまでしてたバイトを全部辞めて勉強漬けの毎日。

三鷹さんのマンションに泊まり込んで、前川さんにマンツーマンで勉強を見てもらった。


入試までの間、俺の鼓膜を震わせたのは。

自分と前川さんの声、そしてカリカリカリカリ響くシャーペンの音だけだった。


んな風に勉強に集中できる環境を提供してくれた三鷹さんや、スパルタ家庭教師前川さんのお陰もあって。


春、桜が舞う季節。

俺は無事、鈴蘭学園初の奨学生になる事ができたのでした。










「では今日から、礼儀作法と食事のマナー、その他【鈴蘭】で生活していく上での注意事項をリストアップしました。

入学までにこれ全てを完璧にマスターしましょうね、誠様。」



ニッコリ。


…無事に入学出来るかどうかは、まだ不明です。

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