文庫版鈴蘭学園物語~special episode~

桐原 聡一郎 /コンビニ事件side K





毎日が同じ事の繰り返し

毎日が同じモノとの戦い。


だったらその中で

自分なりの愉しみを見つけたって

罰は当たらないだろう?





桐原 side



噂の外部生を見付けたのは、本当に偶然の事だった。

俺達生徒会役員は明日の入学式の準備に追われ、昨日から徹夜で生徒会室に缶詰めの状態が続いていた。


けれど式の進行に必要な資料が入ったUSBメモリを隆義のバカが寮の『特別フロア』に忘れてきてしまった為、代表して俺がスズラン館までそれを取りに行く事になったのだった。




「いや、元はと言やあウッカリ忘れてきちまった俺の落ち度だぁ。俺が取りに行…」


「行かせませんよ、そう言ってそのままサボるつもりでしょう?」



笑顔を浮かべながら、隆義の言葉をピシャリと遮る。

生徒会室から出る口実にする為に、USBメモリをわざと寮に忘れてきたのだとすぐに気付いたからだ。


わざわざ俺が出向かずとも後輩の誰かを使いに出せばよかったが、そのままバカ義と同じ部屋にいればキレて『地』が出てしまいそうで、一旦クールダウンする必要があると自分で判断した。

俺は後輩の書記に隆義の監視を任せ、寮であるスズラン館へと出向いたのだった。


その、帰りの事。




(…あの二人に、何か甘い物でも買って行ってやるか。)



目的のUSBメモリをポケットに入れ、スズラン館一階の廊下を進む中。

俺の頭に浮かんだのは、この春から生徒会で働いている書記と会計の後輩二人の事。


隆義のサボり癖のせいで、まだ仕事に慣れていないあの二人には随分と無理をさせてしまった。

来月の頭には、一学期の一大イベント『新入生歓迎会』も控えている。


まだ新人の二人のやる気が削がれないよう、こまめに労をねぎらってやる必要がある。




(必要な物は電話一本で生徒会室に届けさせる事ができるが、こういうのは俺が直接買って行ってこそ意味があるからな…)



計算高いなんて心外だな。

飴と鞭の塩梅を心得てると言ってほしいね。


そうして俺は、普段は立ち寄る事のない寮のコンビニへと足を踏み入れたのだった。

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