文庫版鈴蘭学園物語~special episode~

鈴蘭学園物語②夏休み編 /祭囃子






ちんちんピロピロ

とんからりん


夏だ月夜だ お祭りだ


屋台に明かりを 提灯を

お空に太鼓を 笛の音を


ちんちんピロピロ

とんからりん


ちんちんピロピロ

とん からりん

















――ざわざわざわ…


――がやがやがや…



師匠ん家から徒歩二十分。

神社に繋がる一本道、その両脇に所狭しと屋台が連なっていた。


射的に金魚すくいにヨーヨー釣りに。
かき氷にフランクフルトにたこ焼きに。

頭上にはジグザグに張られた紐に提灯(チョウチン)が吊され、通りを照らしていた。




「おー、結構賑わってんなー。」



神社主体の小さなお祭り。

それでも盆踊りの音楽に屋台のおっちゃんの威勢のいい呼び込み声が加われば、賑やかな雰囲気に自然と客足も伸びていた。


カップルやら子供連れやら。

楽しそうに会話を交わしながら思い思いの屋台へと足を向けている。


一方俺の隣でも…




「誠さんあれ見て下さい凄いですっ!リンゴが飴でくるんでありますっ!リンゴ飴ですって!」



目をキラキラさせながら。
はわわと頬を紅潮させ。
興奮気味に屋台を指差すえんじぇるの姿が。

なんでもお祭り自体初めてらしく、物珍しげに屋台を見回しながら満面の笑みを俺に向けてくる。


かーわいいなぁもう。




「私挑戦してみますリンゴ飴、買ってきますっ。」


「おーう、頑張れ初挑戦。」



カラカラと下駄を鳴らしながら、少し早足で屋台に駆け寄る美里。

その後ろをゆったり歩きながらついて行く俺は、美里と同じく浴衣姿。


帯は茜色で、浴衣は黒の木綿生地に紫の朝顔が咲いている。

前髪はワックスでサイドに流し、側面には大きめのバラのコサージュが。


今の俺はどっからどう見ても女の子、さすがに男にゃ間違えられないと思う…たぶん。


慣れない格好に最初はわさもそしてたけど、コサージュなんて初めて付けたけど。

美里楽しそうだし、たまにはいっかなんて思った俺だったり。




(つか腹減った、俺もなんか食おうっと。)



色気より食い気とはよく言ったもの。
ソースの香りに唾をゴクリ、まずは焼きそばを食べたい気分なり。

あとは焼き鳥にトウモロコシにイカ焼きにー。
かき氷はやっぱ王道のいちごかなー。




「誠さん見て下さいっ、オマケしてもらっちゃいましたっ!」


「……食いきれるか?それ。」



リンゴ飴の二段とか初めて見ましたぜ、俺は。

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