文庫版鈴蘭学園物語~special episode~






「お嬢ちゃん可愛いね〜、たこ焼きもう一個オマケしちゃお。」


「わあっ!ありがとう御座いますっ!」



美里の笑顔に道行く野郎共はメロメロどきゅん。
屋台のおっちゃんもメロメロどきゅん。

リンゴ飴同様、さっきから行く先々でオマケしてもらってる気がするのは俺だけでしょうか。


男はかくも単純な生き物かな。

そんな言葉が脳裏を過ぎった。


まあその気持ち分からなくもないけども。
だって美里は可愛いからん。

買ったそばから腹ん中に消えてってるから、両手が荷物で塞がる事もないけども。


その一方で俺も…




「お、黒崎のマコ坊じゃねぇか!久しいねぇ元気にしてたかい?」


「うん、夏休みを満喫してるー。」


「おっ、ホントだマコ坊じゃねぇか!見違えたねぇ、女らしくなって。」


「あはは、今日だけ今日だけ。」



屋台のおっちゃん達には地元の人も結構いて、その中には顔見知りも何人かいたりして。

食ってけ食ってけと、お代も払ってないのに次々と食い物の入ったパックを渡される。


マコ坊って呼ばれんのは多分三鷹さんの影響。

まだ俺が小さかった頃このお祭りで迷子になっちゃって、三鷹さんがマコ坊!マコ坊!って大騒ぎして探し回ったのが発端だって母さんが言ってた気がする。


…覚えてないけど。

うん、鼻水垂らして泣きながら三鷹さんに抱き付いた事なんて覚えてないよ。
うん、覚えてないない。




「誠さんっ!次はあれっ射的したいですっ!」


「うーし、じゃあ勝負すっか。」


「はいっ!」



それから一通り屋台を回って。

美里と射的勝負したり、小学生に混じってヨーヨー釣りに挑戦したりして。


そんな風に俺と美里が夏祭りを思う存分満喫していた…と、そんな時の事だった。




「ねーねー、君一人?可愛いね〜。」


「俺達と一緒に遊ばなーい?」


「え?」



俺がちょっと離れた隙に、チャラそうな二人の男が美里に声を掛けたのは…。


そん時は祭りの後半に上がる花火の時間が間近に迫ってて。

ベストポジションなベンチを知ってる俺は、美里をそこに座らせ場所取りを任せて。

んで、近くのゴミ箱にごみを捨てに美里から離れた…ほんの数分の事。




「あっあの、お友達と来てますので…」


「え〜いいじゃん、そのお友達も一緒にさ〜。」


「そーそー、俺らともお友達になろうよ〜。」



そしてその光景を数メートル後方から目撃なう。

チャラ男達の背中越しに、美里の困ってる顔が見えた。

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