文庫版鈴蘭学園物語~special episode~

鈴蘭学園物語②夏休み編 /激情のセレナーデ





??? side




決して縮まる事のない差がある。


どんなに強くなろうと

どんなに身体が成長しようと

どんなに経験を積もうと。



どうして…


どうして俺は、アイツより――…


















「そっそれで大将が姐(アネ)さんを捜すよう、ナイトメア全員に号令を掛けたんス。

おっ俺らは全然下っ端なんスけど、偶然姐さんと同中で同級生だったダチがいて…」


「そっそいつから卒アルの写真見せてもらった事あったんで、姐さんが『マコト』だってすぐに分かったんスよ。

んで、チームの直属の先輩に報告を…」


「……」



ちょっと待て。

誰が姐さんだ、誰が。





誠 side



チャラ男二人をコンビニの裏に連れ込み、そいつ等の知りうる限りの情報を聞き出す事約三十分。

俺はようやくここ数ヶ月間に起こった、裏の世界の出来事を把握していったのだった。


どうやら【鈴蘭】に通ってた間、俺は行方不明って思われてたらしく。

二つの対立する『チーム』――鷹とナイトメアの連中は、今日まで競うように俺を探し回っていたとの事だった。


行方不明って大げさな、と。

そんな事を思った俺の頭に、不意に過ぎったのは…




(……あれ?そういや俺、風子に【鈴蘭】行くって事ちゃんと話したっけか…?)



思い出したのは、チームを裏で纏めている俺の妹分



神宮 風子(ジングウ フウコ)



の顔。


ほら俺、高校入るまで携帯持ってなかったからさ。

連絡事がある時は直接風子に言って、現総長であるアイツの兄貴やチームの皆に伝えてもらってたんだよね。


けど…




(確か高校に行くって事は言ったけど、それが【鈴蘭】だって事も全寮制だって事も伝えてなかったような…?)



やべっ忘れた、と。
思わずタラリと冷や汗一つ。

怒らせると総長同様、手が着けられない妹分の事を思い出す。


まぁでも伝え忘れてた俺が悪いわけだし。

怒られんの覚悟でなるべく早い内連絡を入れなきゃな、と。


そんな事を決心する一方で、今の俺の心配はもう一つのチームへと向けられていて…




(つーかまだ諦めてなかったのかよ、あのバカ大将め。)



思わず舌打ちが一つ零れる。

そんなイライラ指数上昇中の俺に、目の前のチャラ男二人は怯えたようにビクリと肩を揺らした。


つまりは何だ、美里は俺の身代わりにナイトメアに連れ去られたって事かよ。クソヤロウが。

0
  • しおりをはさむ
  • 119
  • 5991
/ 139ページ
このページを編集する