文庫版鈴蘭学園物語~special episode~

鈴蘭学園物語②夏休み編 /灼熱のラプソディー





AM 1:07




――シ…ン……



えんじぇるの一声によって、静まりかえった店内。


二人の拳を掴んだ衝撃で、両手にピリピリとした小さな痛みが走る中。

クラブ中に居る人間から、ぶっすぶすと視線が突き刺さるのが分かった。



…特に両側に居る男二人から。

んな見られたらマジで身体に穴が開くっつーの。






誠 side



突然ですが、ここいらでちょいと俺の話を一つ。

ごほん。



ぶっちゃけ俺の地元は、

昔からヤンキーが多かった。


まぁ三鷹さん達がチームを作った当時に比べたら、今は割と治安もよくなった方らしいけど。

地元の中学高校にはヤンキーが集まり、リーゼントやらモヒカンやら金髪やら眉なしやらは珍しいものではなかった。


そして何を隠そうこの俺も、そんなヤンキー中学の卒業生だったりする。




(つっても普っ通〜の生徒でしたよ、俺は。授業も比較的ちゃんと受けてたし…。)



制服着てる間はスカートで女って分かるから、絡まれる事も少なかったし。

まぁ降りかかる火の粉は無論はらってきたけど。
売られた喧嘩も買ってきたけど。


んで、ヤンキー校っつーからにはお約束というか何というか。

番長的な生徒が頂点に君臨してたわけで…




「マ…コト、マコトじゃねぇか!」


「……久しぶり、赤鬼。」



沈黙を真っ先に破ったのは、満面の笑みを浮かべ嬉々として声を上げた赤髪の男。

それと同時に掴んでいた二人の拳を離す。


…ええ、ええ、もうお気付きかと思いますが。

俺が通ってたヤンキー中学に当時トップとして君臨してたのが、この大将っつー呼ばれる男。




本名、


鬼束 将司(オニツカ ショウジ)。



新チーム『ナイトメア』を作り上げ、現在もヤンキー達のカリスマ的存在として裏の世界に名を馳せている。

ちなみに俺の二個上、留年とかしてねぇなら今年高三のはず。




「会いたかったぜマコト!」


「それ以上近付いたらタマ蹴り上げっかんな。」



俺に向かって両手を広げ抱き付こうとする赤髪の男に、ピシリと牽制の言葉を一言。


…ついでにも一つ。

情報を付け加えるなら、この大将っつー男は…





『――叫んだって誰も来ねぇよ。テメェは黙って俺のガキ孕みゃいいんだ、マコト。』




…俺を襲った物好き変態第一号さんだったりする。

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