文庫版鈴蘭学園物語~special episode~




ああ、思い出すだけで頭が痛くなる。

あれは俺が中一でコイツが中三の時、つまり三年前の事。


ひょんな事をきっかけに知り合い、ひょんな事からこのCLUB『NigHtMarE』へと連れて来られ。

そして…襲われた。




「あっはっはっ!相変わらず勝ち気だなあマコト!流石俺が惚れた女だぜ!」


「…テメェまだ諦めてなかったのかよ。」



豪快に笑う赤鬼に、げんなりとしながら深いため息を一つ。

あん時はそりゃもう…殴って蹴ってと赤鬼をぶっ飛ばし、命からがらこのクラブを逃げ出した。


最初俺に手を出してきたのは、興味本位だったらしいものの。

逆になぜかその未遂事件の日から、惚れたはれたと言われ始めた。


…その理由はまぁ後々。

それからこの野郎が卒業するまでの中学校一年間が、長かったのなんのって…。




――ざわざわざわ…


――ヒソヒソヒソ…



「アレが本物の『マコト』?すげー、大将と対等に喋ってる。」


「え、あっちの白い浴衣の女が『マコト』じゃなかったのか?」


「おい見たかよ、大将と雷神の拳簡単に止めたぜあの女。」


「あれが鷹の秘蔵っ子か…。」



ナイトメアの連中のざわめきを背中に受け止めつつ、俺は再び吐きそうになったため息を飲み込んだ。


これが単に鷹とナイトメアの抗争なら、俺も口を出さなかったんだけど。

チームの頭同士の戦いに水を差すなんて、無粋なまねもするつもりなかったんだけど。


その諍(イサカ)いの元凶になってるのが自分だって知っちゃ、何もしない訳にはいかないでしょ。




(っと、美里は…)



チラリと正面にあるソファーへと目を向ければ、そこには風子に付き添われた美里の姿が。

その顔には少しの疲労が見えたものの、安心したように俺に笑みを向けてきた。


それにホッと胸を撫で下ろす。

すぐに美里に駆け寄りたいのは山々なんだけど、この場を先に収拾しなきゃだし。

ひとまずついさっき再会した妹分に任せておいて大丈夫そうだな、うんうん。




「何だ、あの嬢ちゃんマコトの知り合いだったか。」


「…俺のダチだ、手荒なまねしてねぇだろうな?」



そんな俺と美里の無言のやり取りを見た赤鬼が、少し驚いたように声を上げた。


そしてなぜか俺の言葉にギクリと身体を揺らしたのは、群衆の中に居た一人の男。

けど俺の位置からその姿は見えず、鼻に絆創膏を貼った男が顔を青くしてたのに俺が気付く事はなかった。


と、その時…

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