Invincible~虎に翼~【完】

7 交換条件 /2


「……あー……、くくっ」



不意に大虎は喉で笑い肩を揺らした。


心羽側の腕は未だソファの背に載せられて、たまに心羽の頭をするりと撫でる。


密着している訳ではないが、その腕の中の距離と甘く優しい空気に浸っていた心羽は、やおら顔を大虎へ向けた。



「……大虎さん?」



首をかしげて自分を覗き込むようにする心羽に、大虎は視線を流しじっと見つめた。


単純に、“愛しい”と思う。


大虎は手に持ったカップを見ながら、今日待ち合わせてからの心羽を思い出していた。


買い物中の生き生きとした表情、食事中のマナーや手の動き、自分の手を握る小さな力、部下に怯える少し困った眉。


その全部が好きで、愛おしいと思う。


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