Invincible~虎に翼~【完】

8 狭間の存在 /4




心羽は必死に歩いていた。


駆けだしたい衝動を何とかこらえながら、つけられているような感覚を背中に感じ、人にまぎれて電車に飛び乗った。


もう買いものどころではなかった。


『調べればすぐにわかるから』


そう言った時の聖のにやりとした嫌な笑いに背筋が凍った。


駅を二つ過ぎ、自宅最寄りのそこを通り過ぎた。何気なくを装い車内を見回す。


目が合うような人物もなく、心羽はかろうじて息を吐き出した。


それでも目的の駅へ着くと改札を素早く抜け足早に歩く。ガラス張りのビルを見上げた時には息が上がっていた。



「あ、お嬢。おかえりなさい!」



入口すぐの部屋から見張りをしている男が声をかけた。それにすらほっと息を吐きぺこりとお辞儀をし、エレベーターへと乗り込んだ。

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