Invincible~虎に翼~【完】



「あのぅ……」



入口すぐ、小さい子窓からのぞいた強面の男に逃げたくなるのを踏みとどまり、小さく声をかけた。



「あぁん?おねーちゃん、ここになんか用か」



威圧的なその男にのけ反りつつ、心羽はグッと手に持った傘の柄を握りしめた。



「えっと、あの、昨日、こちらの……たぶん偉い方だと思うんですけど、」


「は?さっさと言え」


「えぇ、はい、えっと、傘を……お借りしまして、」



そこまで途切れ途切れに説明すると、男がじろりと手にした傘に視線を向けた。


心羽はそれを少し持ち上げて見せる。


疑わしそうな視線にいたたまれなくなり、肩をすぼめた。


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