アイスクリーム狂詩曲【完】

3 ピアスの男



「セーイ!お前今日、カラオケ行けるー?」



セイと呼ばれた男は学生鞄をリュックの様によいしょと背負うと、振り返って腕でバツを表した。



「俺、今日、デートだしー」


「あ!!俺この間お前が可愛い子と歩いてんの、見た!!あの子誰だよ!」


「んー?んふふふっ、おしえなーい!」



クラスメートに手を振ると軽い足取りで学校を出た。


途中あちこちからバイバイと手を振られるのに返しながら、スマホを一度確認して時間を見ると、足を速める。


駅の改札口傍の柱の所で立ち止まるとそこに寄りかかった。


みのり、早く来ないかなー。


ぐぅ、と小さくなったお腹をさすり、スマホを取り出す。


人の流れが多くなったのを感じていれば、聞きなれた声が聴こえてきた。



「じゃあ、谷口くん、また来週!」



ぱっと顔をあげると、改札を出る手前でみのりが男に手を振った。


背が高く細みの男はヘッドフォンを首元にしていて、みのりのそれにコクリと頷いたようだった。


……ん?アイツ、誰?


改札をくぐるみのりより、男の方へ視線が向かった。



「マー君、お待たせ」


「みのりー、俺はらへったー」



返事をしながら、また一度あの男へと視線を向ける。


男の方もじっと自分を見ていて、みのりが振り返るタイミングで視線を反らせると歩いて行った。



「みのり、アイツ、誰?」


「え?アイツって……あぁ、谷口くん!」


「いや、誰っていうのは名前とかじゃないんだけど」



目の前でにこにこ笑うみのりに頬を膨らませた。



「みのりに手ぇだすとか、不愉快」


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