アイスクリーム狂詩曲【完】

4 立ち位置の変化


月曜の朝。


みのりと誠は揃って家を出た。


誠はみのりの速度に合わせて少しゆっくり歩き、みのりは誠に合わせるように少し早く歩く。


自宅がある地区から2人が通う高校へ行く学生はいない。


ほとんどが近隣の高校へ入るため、駅へ向かう学生は誠とみのりくらいだ。


駅のホームまで階段で上がると、誠は右へ、みのりは左へ別れた。


駅に電車が入ってくる。


乗り込んだ所で誠は「おはよー!」ひらりと手を挙げた。



「セイ、おはー」



その車両に先に乗っていた誠の友達が眠そうに手を上げる。


誠とみのりが同じ車両に乗らなくなったのはこの男がいたからだ。


みのりにしてみれば「意味分かんない」のだが、誠はこの友達がみのりに興味を示したため、その日は違う車両へと移り、翌日からみのりを別な車両へ乗せる事にした。


みのりはというと乗り込むといつもの座席へと腰を下ろした。


動き出した電車から流れる景色にを見つめながら、数駅先で乗り込む章を思う。


あぁ、どうしよう。


ドキドキしてきちゃった。


今日もいつも通りいるだろうか。


今日は自分に気付くだろうか。


気がついたらどうする?


手を振る?


笑いかける?


それとも、「おはよう」と声をかける?


今まで章が乗ってくるのを確認し、意識しても目が合うことはなかった。


しかし、先週金曜の帰りは同じ電車に乗り込み、隣に座り、そしてお互い毎朝見かけてると話をした。


ど、どうしよう!


いつも読む小説の事なんて今は頭の片隅にもない。


ついに章が乗り込んでくる駅へと電車が入り、ゆっくりと速度を落とす。


みのりは煩い心臓を押さえるように俯いてきゅっと目を閉じた。


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