アイスクリーム狂詩曲【完】

5 無意識と過保護


章とみのりが朝一緒に登校する姿は、日を追うごとに見慣れたものとなった。


章は相変わらず男女問わず話しかけられても、「あぁ」「そうか」「ムリ」「わかった」の単語くらいしか返事をしない。


その反面みのりに対してはちゃんと会話しているあたり、みのりは随分章に気に入られてるとクラスメートたちは感心すら覚えた。


今日もまた、2人は登校してくると自分の座席へと座る。


章は机にうつぶせるようにすると、決まってみのりの髪を弄び、頬を染めて困ったように微笑むみのりにふわりと笑みを漏らした。



「……いっつも、ここ、ピンク」



章が振り返ったみのりへと手を伸ばす。


長い指がみのりの頬をさらりと撫でた。


隣の席の悠馬、それからみのりに話しかけようと歩いて来ていた真希が固まって凝視した。



「くくっ、……可愛い」



ボンッと爆発的に赤くなったみのりに章はくすくすと肩を揺らし、笑みを漏らす。


それに気がついたクラス中が、幻を見ているんじゃないかと自分の目を疑った。



「まっ……、また、そんな事、言う」


「だって、ホントの事」


「もぉ……、恥ずかしいよ」


「ははっ、やっぱり可愛い」



悠馬は二人のやりとりに、なんとも言えない顔をしたまま宙を眺めた。


真希は信じられないというように口元を手で押さえ、来た道を戻ると自分の席へとそっと腰掛ける。


その日、悠馬は章がトイレへと居なくなった隙にみのりに話しかけた。



「あー……みのりん?」


「なぁに?」


「えーっと、そのー、章と、付き合ってるの?」



途端みのりは顔を真っ赤にして、慌てて両手を横に振った。



「つ、つ、付き合うとかそんな!」


「なんてこった!」



みのりの言葉を聞いたクラス中が思わず天を仰いだ。



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