アイスクリーム狂詩曲【完】

9 君を守りたい


章とみのりが付き合いだし、みのりに対する章の甘さにクラスメートが慣れてきたと思う頃。



「みのり、帰るよ」


「あ、章ちょっと待って」


「慌てなくていいよ」



HRが終わった教室は賑やかで、章はみのりの隣の席から声をかけた。


先日また席替えが行われた。


くじを引いたみのりは奇跡的に今と同じ座席の番号を当て、章は今回、いつもの窓際後ろから、みのりの隣の席に決まった人と場所を交換してもらった。



「今回の席も、悪くない」



玄関を出て手をつなぐ章とみのりはぶらぶらと繋がる手を揺らした。



「……私はちょっと居心地悪い」


「……どうして?」


「だって章、じーっと私の事見てるんだもん」



僅かに頬を膨らませたみのりに、章はくつくつと肩を揺らした。



「折角みのりと隣の席になったのに、寝てたら損でしょ?」


「授業は寝るものじゃありません」


「ん。だから俺、眠くならないようにみのり見てる」


「そうじゃなくて、」


「くくっ、」


「授業中はちゃんと先生の話を聞かなきゃだめだよ?」


「ははっ、大丈夫。耳はちゃんと聞いてる。目はみのりだけど」


「~~~~っ、」



なんか、敵わない気がする!


空いてる手を握りしめるみのりを見て、章は隣で楽しそうにくすくすと笑った。



「あーあ、俺今日バイトだ」


「あ、そっか」


「みのりとデートしたい」


「ふふっ、今日は私も用事だよ」


「……誠に取られる」


「マー君はお兄ちゃんです」


「みのり、明日は?」


「明日は何もないよ」


「じゃあ、明日はデート」


「ふふっ、うん、いいよ」



足取りはみのりに合わせてゆっくりと。


駅に入り、ホームに立ち、乗り込む時もずっと、2人の手が離れることはほとんどない。


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