僕らアメフト同好会 短編集【完】

短編集 /第1話 もう一つの夏合宿


(司の妹、咲良と??の恋のお話)


(咲良視点)

「次はS大正門前、S大正門前です。お降りの方は……」

 バスの車内に、目的地を告げるアナウンスが流れだす。

 手を伸ばす間もなく誰かがボタンを押してくれ、また窓の外へと目を向けた。


 停車したバスから降り、ほっと一息ついて時間を確認する。

「咲良ちゃーん!」

 周囲の人がみな振り返るほどの大きな声。顔を上げれば、香奈ちゃんが大きく手を振りながら駆け寄ってきた。


「ごめんね、咲良ちゃん。待たせちゃった?」

「ううん、大丈夫。まださっき来たばかりだから。……S大ってやっぱり人が多いね」

「そうかな? 今日はテストだったから特に多いのかも。咲良ちゃん、大学の中を見てみたいんだったよね。早速行く?」

「うん」

 笑顔で頷くと、香奈ちゃんも嬉しそうに笑って歩き出す。

 色白の肌に、よく表情を変えるくっきり二重の大きな目。香奈ちゃんが歩くたびに、柔らかそうな髪が風に跳ねる。

 この小動物のように可愛くて元気な女の子は、私の友達であり、お兄ちゃんの大切な彼女でもある。


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