蜘蛛の巣

001.蜘蛛の巣 /001.肉体労働



あたしがこの男に半ば強制的な居座り方をされて暮らすようになった発端はと言えば…、


(うわ…こんな寒い日によくあんなところで眠れるな…。)


大学の帰り道。
もうバスが来ることのない廃れたバス停のベンチに座り込んで頭を落とし、黒いコートをボロボロにした状態でピクリとも動かない男がいた。


浮浪者か、それとも酔いつぶれてそのまま一日中そこで寝てたのか…。


どちらにせよ関わりたくないと思ったし、あたしはそんなにお人好しな性格もしてない。


ていうか他人を助ける余裕なんてあたしにはないし。


22歳で現役医大生のあたしは学費をなんとかするのに苦労してるどこにでもいる一般人である。


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