蝶は花に止まりけり【完】

花を失い蝶は落つ /花を求めて蝶は飛び立つ


「すまんな、勝手なことをして」


苦い笑いを浮かべて、お茶をすする文左衛門に、

春清も「いえ」と同じように苦い笑いを浮かべた。


「先生に相談せんといかんと分かっていたんだが、あんな坊主を見たんじゃあなぁ・・・・・・」


そう言って文左衛門は小さく息を吐いた。


「認めるわけにはいかんかのう?」


その声に、


「認めるも何も・・・・・・」


春清も小さくため息をつく。


「反対した所であいつはあっさりと家を捨てるでしょう」


こうなるのは分かっていた気がした。

以前の息子とは違う。

これは成長なんだろうか?

そう考えると、不意に笑いがこみ上げてくる。


「色々お世話をおかけしました」

「どうするんだ?」


立ち上がろうとする春清に文左衛門は少し不安げな顔で見あげる。

だから春清は薄く笑って、


「あの二人に謝る言葉でも考えます」


その答えに、


「そうか」


と、文左衛門も薄く笑った。

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