彼氏から異常に愛されています

彼氏の支配欲

「ゆう、こっち!」


慌てて待ち合わせ先の喫茶店の扉を開けると、手を振る佳奈がいた。
ホッと安堵の息をつき、佳奈が座ってる席の向かい席に腰をおろす。


「ごめん、待った?」

「全然!」


笑って答えてくれた佳奈に自然と笑みが零れる。待ち合わせ時間よりも遅れているのに、怒ってなくてよかった。
久々に会えた親友の顔に安心してしまい、少し涙目になってしまう。


「ゆうってば、なかなか誘っても会ってくれないんだもの。寂しかったんだけど?」


茶化すように言う佳奈に苦笑した。本当は私も会いたかった……。
けれど……ーー。


「まぁ、ゆうにはとってもかっこいい彼氏がいるから仕方ないんだけどさー」

「ご、ごめんね…」

「それにしてもほんと、よかったね! あんなかっこよくて優しい彼氏が出来て! 羨ましいくらい」

「そ、そんなこと…」


佳奈の言葉に身体が強ばる。視線を下に向ければ、震える自分の指が見えた。震えを抑えるようにぎゅっと手を握り合わせる。
その時、カバンに入れてたケイタイが鳴り出しビクッとしてしまう。


「ゆう? ケイタイ鳴ってるけど出ないの?」

「え、あ……、」

「もしかして、彼氏?」

「う、うん。そうみたい」


佳奈と話している間も鳴り響くケイタイ。出ないと店にも迷惑かかってしまう。出なきゃ、って思うのに。

「あたしに遠慮なんてしてないで早く出てあげなよ!」

「ごめんね」


止まってくれないかなと願っていたけれど、止まってくれない着信音に渋々と手を伸ばした。
横に指をスライドさせて、息を吐くと耳に当てる。


『優香』

「っ、大翔…ど、どうしたの?」

『出るの遅かったけど、何かあったの?』


いつもよりワントーン低い声に思わず耳からケイタイを離したくなるのを必死に我慢する。
チラリと佳奈を見るとニコニコと微笑ましいといわんばかりに笑みを浮かべている。


「今、友達といるから、だからーー」

『ふーん。早く帰ってきてね』

「…え? だ、だって今日はいいって言ったよね……?」

『いいって言ったけど、何時間も許可した覚えはないから。意味、分かるよね』


そう言い残し、切られてしまった。呆然としながらケイタイをおろす。
漸く許可してもらえたと思ったのに。何で……。


「ゆう? どうかした?」


心配そうな顔で見てくる佳奈に慌てて笑みを浮かべる。
せっかく久々に会えたというのに、しらけさせたくない。



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