彼氏から異常に愛されています

所有の印

ふと目を覚ますと、夜中だった。
あ……そっか。
今までのことを思い出し、身体が気だるい理由を知る。

なだれ込むようにベッドに押し倒されたんだっけ。
起き上がろうとしたけど、大翔に後から拘束するかのように抱きしめらていて起き上がることが出来ない。

寝ているというのに逃がさないとでも言わんばかりの強さに、諦めの息を吐く。


寝ている間に服を着せてくれたらしい。
そのことだけは救いだ。
安堵して、ふと窓を見上げる。

あ……。
月の明かりに目を細める。
なんて、なんて…綺麗なんだろう。


手を月に届くわけがないと分かっていても伸ばす。
そうすれば、もしかしたら……ここから逃げ出せるような気がして。
この人から、もしかしたら逃げ出せるんじゃないかって思って。


だけど。
伸ばした手は掴まれてしまった。


「あ…」

「優香。ダメだよ」


耳元で囁くように呟かれた声が、やけに重く聞こえたのはきっと気のせいじゃない。
恐る恐る顔を振り向くと。さっきまで寝ていた大翔が目を開けていた。

月の明かりに照らされた整った顔が、恐ろしかった。
掠れた声が思わず出た。


「や、大翔…」


名前を呼ぶことしか出来なくて。
私は硬直していた。


「ははっ。手を伸ばしてるから何してるのかなって思ったよ」

「……」

「さっきまで寝てたのに、目覚めちゃったんだね」

「……」

「優香? 返事くらいして欲しいんだけど」


大翔の指が私の唇をなぞる。
何も言えない私にしびれを切らしたのか、ぐっと距離を縮めて唇を塞がれた。


「ふっう…っ」


強引に塞がれた口の中に大翔の舌が入ってくる。
苦しい……。
離したくても後頭部を抑えられていて、逃れられない。
酸素不足で涙が溢れ、頭がぼーっとしてくる。


噛み付いてしまおうかとしたとき。


ーーガリッ


「んぅっ!?」

「はははっ。ごめんね、思いっきり噛んじゃった」


舌に感じた痛みにとうとう涙が零れた。
ズキズキ痛む口を手で抑え、大翔を睨む。


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