甘いカラダ 【完】

lesson.3 /夢




――夢を見た――――……



アタシはあの公園にいた。


隣には小さな潤。


忘れもしない、あの時の映像。


あぁ、これは夢なんだ。


夢の中で、10年前のアタシと潤があの公園にいる。



アタシの手には、お父さんからもらったお小遣いで買ったクレープ。


潤の手にも、同じクレープ。

そして真新しいラジコンカーを大事そうに抱えている。

大きなラジコンカーとリモコンを抱えて、さらにクレープも持っている潤は、どれ一つ落とさないようにと慎重にゆっくり歩く。


そんなに欲張って持つからだよ。


アタシはその歩幅の小ささとノロさにイライラして、わざと大股で歩いた。


潤は慌てて、必死についてくる。


決して「待って」とも「持って」とも言わない。


その姿を見て、胸がチクっと痛む。


その年齢の標準より少し小柄な潤。


片手が空いているアタシが、なにか一つでも持ってあげればいいのに。


わかっているのに、優しくできない。


ただひたすら、置いていかれまいと必死にアタシにくっついてくることもわかってるのに。


アタシはわざと睨みつけて、大股で歩くんだ……。


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