甘いカラダ 【完】

如月は、おもむろにアタシの頬のガーゼをはがした。


「腫れがひきましたね。あとは内出血が収まるのを待つだけです」


そのままテキパキと、湿布とガーゼを交換する。


ついさっきまで蠱惑的だった雰囲気が、これほどまでに消失すると何も言えないじゃん。



「明日は日曜日ですが、どちらかにお出かけになりますか?」


昼間と変わらない調子の如月に、拍子抜けする。


「……いかない」


「左様でございますか。わたくしといたしましても、お怪我が治るまではお屋敷で静養していただきたいと思っておりましたので、安心しました」



なんなんだよ。


さっきまでアタシを意地悪く甘く刺激していた同じ口で、そんな優しい言葉を吐きやがって。



何も言えないでいるアタシに、如月は深々と一礼した。



「おやすみなさいませ、星羅お嬢様。明日、また参ります」



夜の闇に消えていく如月の細い後ろ姿を、ただ見つめることしかできなかった。




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