暴君総長さまのヒミツの恋人

止ん事無い、不良事情 /恋し恋して

◆◇◆


バタンッ!!!!




「柚瑠っ!!!」




焦燥感に駆られて靴を脱ぐのももどかしい俺は、何度も何度も柚瑠の名前を呼びながら慌てて柚瑠の部屋に上がった。



玄関を開けた時の違和感には既に嫌な予感がしてて。


リビングに入った時予感は現実だったって事を悟った。




生活感のない無機質な部屋の空気は、ずっと柚瑠がこの部屋に帰って来ていない事を表していて。


なんで分かるかって?


それは、……全く柚瑠の匂いがしなかったから。


たった1日2日居ないだけではこうはならない。

だけど現実を受け入れたくない俺は、必死で柚瑠の痕跡を探した。


クローゼット、ベット、脱衣所のタオル類に冷蔵庫。


どれも綺麗に片付けられていて、冷蔵庫や他の家電製品はコンセントを抜かれ、確認してみたらブレーカーまで切られていた。







「ゆず…、ごめん、ゆず、……柚瑠っ」



柚瑠が居なくなってしまった絶望感で、俺はその場に力無く崩れ落ちた。



「柚瑠……、柚瑠、柚瑠っ」




名前を呼ぶ度に、俺の目から大粒の涙がポタポタ零れ落ちていく。


馬鹿な自分への苛立ちと、傷付けてしまった柚瑠への罪悪感で苦しくて苦しくて、泣きながら頭を掻き毟った。


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