暴君総長さまのヒミツの恋人

涙を了う /crisis:

◆◇◆


玲の背中を見送ってから、ふぅ。息を吐いて壁に凭れ掛かった。


目を瞑って俯いていると、人の気配を感じて。

俯いたままソッと目を開けると、何人かの足が私を囲むように爪先をこちらに向けて居るのが視界に入った。


っ、ヤバいっ
囲まれたっ


咄嗟に玲を呼ぼうと声を出した私。


「っ、れーっ!!!ンッムッ!?」


それなのに、抵抗する間も無く無理矢理口元に変な臭いがする布を当てがわれて。




私は、呆気なく意識を失った。





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……ん、

気がついて目を開けると、カビ臭い古そうな場所に転がされているようで。

手を後ろ手に縛られて、猿ぐつわを咬まされてる。


良かった、足は縛られて無い……。


起き上がろうとしてみたけど、身体に力が入らなくて倒れ込んでしまう。
それでも何度か試した後、諦めてまた横になった。


はぁ…変な薬を嗅がされたのかな。
身体が痺れたみたいで動けないや。

今襲われたら抵抗出来ないよ……

玲……

早く助けに来て、、


不安で涙が溢れそうになるのをギュッと唇を噛んで堪えた私は、気を紛らわせようと周りを見回した。


建物の中には誰も居ないみたいで、物音が聞こえない。

時折強い風に煽られて、扉がガタガタなったり、葉っぱが擦れ合う音だけが響いて、不気味だ。


ボロボロの建物の壁に所々穴が開いていて、そこから外が薄暗くなっているのが目に入った。

玲がコンビニに向かったのが17時くらいだったから、それ程時間は経ってないように思う。


「……っ、玲…」


やっぱり怖いよ……、

助けて、


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