異世界転生~姫の中身はおっさん~

魔太子ナルド

「こちらの道を通ったようでございます、魔太子様」

ナルドは、人々に魔太子と呼ばせていた。無論、タルシュ王国には本当の王太子がいた。

ナルドはそれを殺し、入れ替わったのだ。

人々の記憶操作は順調で、子供さえナルドを見ると魔太子と呼んだ。

人の国を手に入れてもつまらない。

ただ、北の魔王ラシエルが花嫁に迎えようとしている存在に、興味がわいた。

後宮には王太子でも入ることができる。

魔太子ナルドは、そこで暴れ回るシルルアージュを見つめていた。

美貌は魔族のどんな美女さえも圧倒するものがあった。だが、何より天使の色を受け継ぎ、天使の血と因子を体に宿していたシルルアージュを一目見て、ラシエルが花嫁として所望するのが分かる気がした。

魂は、本当に奇跡のような輝きを帯びていた。
生粋の天使であるようで、何か違う、魔の魂に限りなく近い何かが紛れ込んでいる。

異界の魂だと、ナルドは気づいた。
異界の魂など、今まで見たこともないが、かつて神だった者は異界より来たりし人間という話を聞いたことがあった。

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