ルルの大冒険

旅立ち

 ローソクの火を消して玄関のドアを開けて外に出る。
相変わらず暗い。

懐中電灯で足下を照らしながら歩き始める。
懐中電灯に照らし出される丸い光の中を
ルルがトコトコと歩いていく。

夫の通雄の会社には車で何度か行った事がある。
彩の記憶では、カーナビのガイドで20キロだった。
大した距離じゃない、と内心思った。
マラソンの半分以下の距離だ。

オリンピック選手なら1時間位の距離じゃないか。
と思ったものの、
人の歩く速さは時速4キロということになっている。
20キロというと、単純に計算して5時間という事になる。
途中休憩をすればもっとかかる。
おまけに真っ暗だ、道も良く分からない。

彩はもう心細くなってしまった。

しかしもう引き返すわけにはいかない、
バス通りにでると17号バイパ スを目指す。
17号バイパスに出れば東京まで真っ直ぐに行けば良い。
笹目橋を渡れば東京だ。
その後は良く分からない。
が、行けば何とかなると彩は思った。

懐中電灯の光を頼りにバス通りを
17号バイパスに向かって進んで行く。

暫く行くと光が見えてきた。
明るくなる。
元に戻ったのか?と一瞬思った。
しかし、明るいのは一ヶ所だけだ。

彩が良く行くコンビニ が、ボーッと光っている。

何だか不気味だ。彩は歩くスピードを緩めた。
不気味な光だが調べなくては、人がいるのかもしれない。

そう思って、ゆっくりと近づいて行く。
外から中を覗いてみる。
人の気配はない。

明るいのも照明が点いている訳ではなさそうだ。
照明は明らかに消えている。

でも、明るい。

それほど明るいわけではないが、はっきりと見える。

入り口の前で彩は暫く立ちつくしていた。

中に入るべきか迷っているのだ。
人がいなければ、入ってみても意味が無い、
このまま先を急ごう。
そう思ったとき、中から微かな物音が聞こえてきた。

人がいる。しかし人の姿は見えない。

思い切って中に入ってみよう。
彩は懐中電灯を消した。

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