5人の王子と氷姫 ー悪魔の爪跡ー

第二十五章 殺人未遂

僕はSJの部屋を、転がるように飛び出した。

そのとき、やめろー!、っという男の声。

ジェイ!

ジェイの声!

僕の体が震えた。

でも、声のしたほうに全力で走った。

何が起こってる?

ジェイ、

ジェイ、

僕は不安で一杯だった。


非常口近く。

僕が見たのは、赤いキャップ。

その横に倒れている女の子、

乱れた長い髪で顔が隠れていた。

動いてない。


そして、血まみれの床。

ジェイが腕を押さえてふらついて立ってる。

真っ黒い服の男の後ろ姿。

手にはナイフが光っている。

僕は無意識に叫んだ。

「アベルー!」

男が振り向いた。

黒いキャップを深く被っている。

目が僕と合った。

アベル!


アベルは僕を見ると、非常階段から飛び出した。


「ジェイ!」

ジェイは膝から崩れ落ちた。

白いシャツが真っ赤に染まっていた。

流れ出す血。

ジェイは、倒れている女の子を抱きしめていた。

真っ白な顔。

ケル!

僕は駆け寄りケルをゆすった。

「ケル、ケル、ケル!!」

もう、絶叫に近い僕の声。

ケルの首に太い指のあとがくっきりと浮かんでいた。

ジェイは震える体でケルを抱きしめて離さない。

ジェイが泣いている。

床に流れ出す血が止まらない。


僕は震える手で警察に電話した。

それから、マックに、

マックが、もしもしと言う前に僕は電話に絶叫してた。

「ケルが殺された!」

「ジェイが血まみれなんだ!」

「早く来て、早く!」

後は、あまり覚えてない。

僕は自分の着ていたシャツを脱いでジェイの腕を押さえた。

もう一方の手で、ケルの手を握った。

脈がふれた。

ケルの脈。

生きてる・・・・


僕は、泣きながらジェイに言ったんだ。

「ケル、生きてる。 ジェイ、脈が触れるから・・・・」

「大丈夫だから・・・・」

ジェイの体の震えが止まらない。

か細い声が聞こえた。

「生きてるのか、よかった・・・」

そういうと、ジェイは意識を失った。

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