5人の王子と氷姫 ー悪魔の爪跡ー

アリスが今までにないくらいの嬉しそうな笑顔を見せてくれた。

余りにも神々しい微笑み。

アリスが一段と綺麗になった気がした。

僕は、ちょっとドキッっとしながら、アリスにティッシュを渡す。

「これでリップふき取って」

「メイクさん呼んで来るから待ってってね」

「アリス、ハミなんかに負るな。 君は最高に綺麗なんだから」

僕がそういうと、アリスは頷いて答えた。



ヘアメイクのスタッフがアリスのメイクを手直しし始める。

ひと塗りごとアリスが集中していくのが分かる。

アリスの周りの空気が変わっていった。

少女から大人の女に代わろうとする表情。

瞳に漂う自信と強さ。


いつものアリスに戻っている。

これで、アリスは大丈夫だろう。


午後からは、ハミがきっとNG連発だ。

アリスに食われる。

僕らがそうだったように‥‥



僕は控え室を後にした。

ミギョン女史が僕を捕まえて聞いてきた。

「アリスは大丈夫なの? ケイが来てたけど‥‥」

僕は笑って答えた。

「戻りました、いつものアリスに」

「きっと、ハミは後悔しますよ、アリスと一緒にCMでたこと」

「アリスが本気をだしたら共演者は食われますから」

ミギョン女史は笑った。

「うふふ、そうね‥‥」

「きっと、次回からはアリス一人でこの仕事をすることになるわね」

「ほんとに、ケイとあなたのお陰ね」

「アリスにはあなた達が欠かせないわね」


僕ら、ではなく、ケイが、だ。

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