5人の王子と氷姫 ー悪魔の爪跡ー

第三十章 解放

僕は夢を見ているって分かっていた。

お母さんが、僕のそばにいて優しく微笑んでくれている。

でも、声がSJなんだ。

……目を覚ましなさい

そう言って、微笑むお母さん。

……嫌だよ。ずっと一緒にいる。

そう言って僕は母の手をきつく握り締めた。

母が軽々と僕の手を振りほどき、僕の体を押した。

軽く触れるように押したのに、僕は物凄い速さで落下していった。

……お母さん、お母さん。


真っ暗な部屋に一人ぼっちになった。

突然、大音響が僕の耳を麻痺させた。

その音が徐々に小さくなり、僕の名前を呼んでいるのだと理解した。

しかし、僕の瞼はピクリとも動かない。

動けと念じるけどダメだった。


どれだけ時間が過ぎたのかも分からないほど、僕は一人ぼっちだった。

必死で母のいるであろう方向へ真っ暗な中進むが、僕を呼ぶ声が道を閉ざす。

うるさい!

と、僕は怒って怒鳴ってみた。

僕の声が、僕を呼ぶ声と衝突し、閃光を放った。

目の前に、眩しい光が溢れ、僕の目に、マック、ケイ、ジェイ、ショーンが飛び込んできた。

みんな泣いている。

どうして?

僕には理解できなかった。

記憶が定かじゃないのは自分でも分かる。

何が起こったんだ。


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