若頭は旦那様!?【完】

《4》









霞を控え室まで送り、お袋と入って行くのを見送った俺と親父は空き部屋へと入った。


既に李泱たち幹部が何人かいて、俺と親父が揃うとそれぞれ会話を止めて向き直った。






「パーティは続行させる。閉演時間も変更なしだ。
俺たちは来訪者に挨拶をするが、その間華と霞ちゃんは控え室で待機させる」

「犯人探しはしないんですか?」



親父に真っ先に質問を飛ばしたのは李泱だった。





「責任者の言うことが事実なのだとしたら、犯人は会場の明かりが落ちた暗い中で車輪を出したことになります。

さらに階段は元々舞台前に設置されていました。組長たちに明かりが向けられた舞台に人々は注目していたのに、誰一人気付かなかった。

その辺の奴じゃあできないことですよ」

「そんなちょびっと優秀系の奴を見つけ出すのは、そう簡単じゃない。

時間や労力を取られた末、再び誰かの命が狙われるかもしれない」



秀孝と橋下の言葉に「まぁ、そういうわけだ」と親父は付け加えた。



「探さないとは言ってない。ただ第一目標は披露宴を無事に終了させること。
犯人探しは二の次ってーことだ」



李泱はどこか納得してなさげだったが、それ以上口出しをせず「分かりました」と返していた。






「俺と柊悟は挨拶回りがある。秀孝と夢灑は俺たちに付け。

橋下と李泱は華と霞ちゃんと控え室に。
あ、手ぇ出すんじゃねぇぞ?東京湾に沈めるだけじゃ済まさねぇからな?

他の者は今まで通りの配置だ。
出入りする奴に注意しろ」



それぞれが返事をして、その場はお開きとなった。




何かを小声で話す親父と秀孝の後に続きながら、夢灑と共に会場へと歩を進める。

等間隔に配置された窓から月が覗き、春の強い風に木が踊っていた。




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