若頭は旦那様!?【完】

《5》










side/柊悟






通話を終えたのは月が下りに傾いた頃だった。





室内に足を踏み入れると空気が温かい。


ふと髪に手を伸ばしたが、冷風で既に乾いていた。




携帯を置いてベッドに近付くと、霞は顔をこっちに向けてスヤスヤと寝息を立てていた。





丸く大きな目は閉じられ、僅かに開いた唇から吐息が洩れている。


背中が動くたびに生きていると安堵してしまうほどには、その姿が愛おしくてたまらなかった。





「……かわいー…」




隣に潜り向かい合うように眠っても、ピクリとも動かない。



試しに触れるだけのキスをしてみたが、何の反応もなかった。


ああー、襲いてぇ……。




首元のバスローブを引っ張ると、日夜注いできた愛の跡が色濃く残されていた。






『あの子さー、かわいいよね。まだ君の色にも染まってない純真無垢な感じ。
透き通っていて、美しくて、繊細で』





けれどどんなに跡を付けても、体を縛り付けても、





心だけは、完全に捕らえられない。





霞は真っ白なまま。



その純粋なところも好きなのに、衝動的に真っ黒に染めてやりたくなる。





「……っん…」




うなじに深く口付けると、霞は身じろぎをして背を向けた。




華奢な体をそっと抱きしめ目を閉じる。


いつしかそうしないと眠れなくなっていた俺は、すぐに夢の世界へ入り込んだ。



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