若頭は旦那様!?

《6》








指輪をチェーンに通し、首にとめる。


全身鏡で制服姿の自分をチェックしてから、「よし…」とロッカーを閉めた。




表に出ると、カウンターのいつもの席に他とは違う空気をまとった美しい人が座っている。



黒く程よい長さの髪に、黒いスーツ。


腕を組んだままニコリとも笑わず切れ長の目で窓の外を見続けている。



暗いと思えないのはきっと、その存在自体に華々しさがあるからだろう。






「…柊悟さん」


あまりに気付かないので声を掛けると、パッとこちらを向いた柊悟さんが微かに表情を緩める。


なんだか嬉しくて同じように頬を緩めて近寄った。





「外に何かありました?」



まさか綺麗な女性がいたり…。


チラリと同じ方へ顔を向けてみるが、不気味な雨雲が空を覆い細い小道の先で時折傘を差した人が通るくらいだった。





「霞…。新婚旅行、どこ行きたい?」

「え…、どうしたんですか?突然…」





披露宴が終わって一週間以上が経っていた。



このところ雨が続きジメジメした空気に辟易しながらも、雨上がりの空気は好きだと言うと柊悟さんも好きだと言っていた。






「腹が出てきてからだと動きづらいだろ。産まれてからじゃゆっくり出来ねぇし。

今のうちに行くべきだと思ってな」



カウンターに乗せていた手に、大きな手が覆い被さる。


長い指が沈んでから上がると、恋人繋ぎをして落ち着いた。





新婚旅行か……。




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