若頭は旦那様!?【完】

《8》







ガタン、ゴトンと車内は揺れる。


一瞬で変わっていく景色を窓辺に頬杖をついて眺めた。




「ママ~、あのおじさん顔怖い…」

「ダメよ見ちゃ!」




通りすがりに俺の隣を指差した幼稚園生ほどの女の子の声で、顔を上げる。


母親は焦ったように子どもを叱って腕を引っ張っていった。




「………何回目?」

「13回目っす………」



隣の石田に尋ねると、顔を両手で覆ってあからさまに落ちていた。




「二児の父のわりに子どもに嫌われやすいんだね」

「うぅっ……。李泱さん、それ以上はもう…」

「顔のわりにメンタル弱いし」

「顔は…俺のせいじゃないっすよ~…」




ズーンと項垂れてめんどくさそうだったので「もう一回トランプやる?」と聞くと「二人だと手札分かっちゃいやすから」と断られた。




確かに。



前の席の隙間では若と霞さんの頭が寄り添ったまま動かない。




霞さんは眠っているんだろう。


若は恐らく寝てはいないんだろうけど。





さっきは霞さんも楽しんでいたから大富豪やババ抜きをやったけど、その霞さんが寝ているなら若が参加するはずがない。





「むーちゃんがいればなぁ~」

「予定があるから先行っててくれって言ってましたけど、若が命じた用事ではなさそうでしたっすよね」

「分かった、って返事してたしね。
むーちゃんは俺より任されてる仕事量多いからな~」

「そうなんすか?」

「基本若の乗る車の運転係は俺だからさ。その時間分かな。
後は俺が頭脳派じゃないことと、ジッと座ってパソコン業務できないこともある」

「絶対原因は後半っすよね」

「ん?」




『本日も新幹線をご利用くださいまして、誠にありがとうございます。

次は~、京都、京都でございます』




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