若頭は旦那様!?!?

《24》










薄く色付いていた月は神秘な光を取り戻し、周囲を光のベールで覆う。





闇に近い紺色の広く晴れ渡った空には無数の星がさんざめき、続々と降車する組員も同様士気が高まっていた。









東北某所の山の麓に位置する岩渕組本家。






ここへ向かうまでにもポツリポツリと家があるのは見えたが、ここはそれ以上に家一つも見えない、ひっそりとした地だった。






広大な本家の敷地を森が覆い、夏の始まりを告げる虫や生き物の鳴き声がする。







本家からは光が漏れていたが、恐ろしいほど人の声がしなかった。












「若、全員配置につきました」








山田たちは森側にある裏口から、残りは正面から突入し、左右に分かれる廊下の左を北島たち、右を三芳組が担う。








「…突入しろ」









石田が無線で全員に突入の合図をすると、峻峭な門を数名が両手で力強く押し上け、中から待ち構えていたように岩渕組組員が飛び出してきた。







一番手前にいた組員が顔面を殴られ、後ろによろめく。




その手の指には銀の鉄ナックルダスターがはめられ、鉄で殴られた男は額と鼻から血が出ていた。











「てめえっ…」







すかさずそばにいた組員が、ナックルダスターの男の首にナイフを突き立てる。






血飛沫が上がり、岩渕組は「てめえらっ…!」と扇動されたように憤慨していた。





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