カーテン越しの君【完】

カーテン越しの君 /また聞きたくなるような声

「上履きに名前を書いたら盗まれるから。訳あって足跡が残せないんだ。それに俺が誰かって事は、保健の先生が知ってればいいだろ?」

「えっ、上履きを盗まれるって?」


「そー。だから書かない。名前を書いたら何度も盗まれたから、マークにしたのは盗難防止の為」

「何度も盗まれるなんて。…ひょっとして、誰かから嫌われてるんですか?」


「ちげーよ。あんたストレートで結構失礼だな…。俺は人が信用出来ないだけ」

「嫌がらせをするひどい人達がいるんですね。…ところで、同学年みたいだけど何組なんですか?」



カーテン越しの彼への質問の内容が、核心に迫りそうだった、その時。


ガラッ… ピシャッ


扉の開閉音の後、職員室から先生が戻って来たような軽い靴音が耳に入ったと同時に、直前まで会話のキャッチボールしていた彼との会話は、何事も無かったかのように急に途切れた。



あともう少しで謎が解明していきそうだったのに、先生が保健室に戻って来たタイミングが悪くて残念。


それにより、一気に調子が狂った私は、彼と同じく口を塞いだ。




でも、保健室のカーテン越しの彼は、声がとても印象的であり、一度聞いたらまた聞きたくなるような、落ち着いた口調の大人っぽくセクシーな自分好みの声だった。

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