カーテン越しの君【完】

カーテン越しの君 /芸能科の彼




昼休みに教室に戻った私は、お弁当を広げながら先ほどの保健室での一件を菜乃花に報告した。


すると、軽く首を傾けた菜乃花は、憶測を始めた。



「その話から推測すると、ひょっとして芸能科の人なんじゃない?なんか、少し前に似たような噂を他のクラスの友達に聞いた事がある」

「どんな?」


「芸能科同士でも売れてる子の人気を妬んで、荷物を盗んでネット販売する人もいるらしいよ」



芸能界。

そこは、弱肉強食の世界。


芸能界は足の引っ張り合いと言う噂は耳にした事はあったが、まさかこの校内という小さな世界でそういった陰湿な事件が行われているとは。


もし彼も被害者の一員とするならば、プライベートでも自由が奪われてるように思えて、少し可哀想に感じた。



「でも、★マークの彼がどんな人物だか気になるね。実は超売れっ子アイドルだったりして」

「私は芸能人とか興味ないし。しかも、★マークと声だけじゃ、芸能ツウでも誰だか分からないよ」


「ひょっとしてハルくんだったりして。あーっ、芸能科ってだけで想像が勝手に膨らんじゃう。もし、そうだったら私も保健室に行こうかな」



期待に胸を踊らせながら楽観的な考えを持つ菜乃花は、相変わらずハルくん一色。

目を輝かせて興奮気味に鼻息を鳴らした姿は、非常に想像力が豊かである。




しかし、菜乃花の話がもし本当であれば、警戒していたような彼の態度は分からなくもない。




仕事の都合上、通常登校が不可能な芸能科の生徒はある程度学校側から配慮されているので、生徒があの時間に保健室のベッドに転がっていてもおかしくはない。

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