それが罪だとしても…【完】

 
「まあ、お前はもう俺のもんだから、どこにも帰すつもりはねぇけどな」


あたしの考えていることを読み取ったのか、わざと意地悪な笑みを向けて、じりっと詰め寄った。

口角を上げたその微笑みは、本当に悪魔の微笑みにしか見えない。


「……監禁罪で捕まっちゃうよ?」
「拘束はしているつもりはない。お前の意思だろ」
「……」


それを言われたら、終わりだ。


最初の時のように、足枷をつけられなくなった体。
日中は恭哉は仕事に行って、誰もこの部屋にはいない。


つまりあたしは、いつでもこの部屋から逃げ出せるんだ。


意地悪な微笑みの恭哉に、またこのまま抱かれるんだと思って、胸がドキドキした。
だけど恭哉はあたしに触れることなく、あたしの隣に座るだけ。
拍子抜けして、恭哉へと振り返ってしまった。


「どうした?」
「え、あ……べつ、に……」


いつも、恭哉は仕事から帰って、あたしを抱く。

それが愛すという意味合いをもっているのか、
ただの欲を満たすだけの意味なのかは分からない。

だけど少なからず、彼の手が優しい温もりなのは確かで、それを嫌だと感じたことはなかった。


「物足りなそうな顔してんな」
「っ……」


触れてこない恭哉に、寂しさを感じてしまったのは事実。
それを分かり切っているように、恭哉は隣に座りながら、あたしの髪をすくった。



「愛されたかったら、お前から来い」



やっぱりあたしは、この瞳に逆らえない。
 

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